平成29年(2017)入選作品

第36回 平成29年 12月の募集

一般の部

〇銀紙の星の傾く聖樹かな      富山県小矢部市  福江 真子
〇すれ違ふ漁師にほのと焚火の香   三重県四日市市  後藤 允孝
〇凩のはじめは小さきつむじ風    広島県廿日市市  永野 昌人
〇路地裏の冬の灯ひとつまたひとつ  愛媛県新居浜市  加島 一善
〇松の木にかかりて大き冬の月    富山県小矢部市  西野 可代子
〇中腹に羅漢を抱き山眠る      富山県富山市   藤井 薫
〇極月の三日月低く光りけり     広島県呉市    谷本 佳子

 都鳥喫水線の浅かりき       埼玉県吉川市   石井 かずお
 包丁を二本研ぎけり年用意     埼玉県深谷市   潟淵 恵美子
 冬日さす妻籠の宿の格子窓     神奈川県横浜市  龍野 ひろし
 手袋をはづして拝む如来像     富山県小矢部市  松田 文子
 人気なき杣小屋包み山眠る     富山県小矢部市  福江 真子
 火襷の備前の壺や冬座敷      富山県富山市   藤井 薫
 能登岬見ゆる有磯の小春かな    富山県富山市   藤井 薫
 炉辺に聞く宿のあるじの民話かな  岐阜県岐阜市   辻  雅宏
 秒針の音するばかり冬の部屋    岐阜県岐阜市   辻  雅宏
 コンパスで満月描く授業中     奈良県奈良市   相沢 はつみ
 足袋つつく猫をなだめて厨ごと   広島県広島市   久保田 美佳
 肩すくめペダルをこげばオリオン座 広島県広島市   久保田 美佳
 音絶えて降りは根雪へ雪国へ    広島県広島市   白石 正彦
 除夜の鐘聞きつつ妻は厨事     広島県廿日市市  永野 昌人
 灯り消し夜空眺めるクリスマス   愛媛県新居浜市  加島 一善

第35回 平成29年 11月の募集

一般の部

〇たまゆらの木の実時雨や神の宮   千葉県松戸市  吉沢 美佐枝
〇氷見までの各駅停車日の短か    富山県富山市  藤井 薫
〇音もなく枝を離るる色葉かな    富山県小矢部市 福江 真子
〇逆様の切手の封書十二月      広島県廿日市市 永野 昌人
〇神等去出の白き衣に雨降りぬ    広島県呉市   谷本 佳子

 都会へとレールの続く芒谷     埼玉県深谷市  潟淵 恵美子
 踏みしめて日の匂ひせる落葉かな  千葉県松戸市  吉沢 美佐枝
 稲架掛くる二坪ほどの学校田    神奈川県横浜市 龍野 ひろし
 冬耕や開拓村に水神碑       神奈川県横浜市 龍野 ひろし
 木枯や塾の灯りの煌々と      神奈川県横浜市 龍野 ひろし 
 胸元の色鮮やかに菊人形      富山県小矢部市 西野 可代子
 湯に踊る源助大根透きにけり    富山県小矢部市 福江 真子
 大胆にもぐ白菜の白さかな     富山県小矢部市 福江 真子
 通帳の僅かな利子や冬に入る    岐阜県岐阜市  辻  雅宏
 根深汁湯気も一緒に掬ひ分け    三重県四日市市 後藤 允孝
 散紅葉掃き手のわかる箒あと    三重県四日市市 後藤 允孝
 裸木の向かうに映ゆる茜空     広島県呉市   谷本 佳子
 枯蓮のくの字への字に泥の上    広島県大竹市  西亀
 裸木の下に止まれり霊柩車     広島県大竹市  西亀
 とある日の一汁二菜みな大根    広島県廿日市市 永野 昌人






第34回 平成29年 10月の募集

一般の部

〇庭をゆく猫の目光る月明り     北海道札幌市  志賀 理子
〇針に糸通して灯火親しめり     北海道札幌市  志賀 理子
〇軍艦のごとき秋暮の倉庫群     神奈川県横浜市 龍野 ひろし
〇潮待の夜長を照らす常夜灯     神奈川県横浜市 龍野 ひろし
〇川風にしきりに揺るる秋桜     富山県小矢部市 西野 可代子
〇天高し応援団の反り返る      岐阜県岐阜市  辻  雅宏
 
 荷を解けば父の育てし甘藷かな   北海道札幌市  志賀 理子
 ロープウエー野山の錦渡りゆく   千葉県千葉市  恵三
 鍬の柄に父の手の跡冬耕す     千葉県千葉市  恵三
 高塔に響くカリヨン秋桜      富山県小矢部市 福江 真子
 銀杏散る体育館にフラダンス    富山県富山市  藤井 薫
 一陣の風駆け抜けて冬支度     三重県四日市市 後藤 允孝
 足となり目となり母と虫の径    京都府京都市  中蔵 みづほ
 虫の夜や寡黙をとほす人に添ひ   京都府京都市  中蔵 みづほ
 初氷列乱れ行くランドセル     兵庫県神戸市  柴原 明人
 旧街道葛のはびこる馬だめし    広島県大竹市  西亀
 故郷や肌に沁み入る秋の雨     広島県廿日市市 稲留 伸治
 詫状を書いては破る夜寒かな    広島県廿日市市 永野 昌人
 雨粒を乗せて葛の葉揺れてをり   広島県広島市  久保田 美佳
 流木の浮き沈みゆく秋の海     広島県広島市  久保田 美佳
 明け易し子供の描く戦火の絵    福岡県北九州市 高野 裕治

第33回 平成29年 9月の募集

一般の部

〇一列に石飛び渡る登山の子     埼玉県深谷市  潟淵 恵美子
〇寝つかれぬ里帰りの夜虫すだく   神奈川県横浜市 龍野 ひろし
〇玫瑰や潮焚き釜の干されたる    富山県小矢部市 福江 真子
〇鳴くほどに闇整ひて虫時雨     三重県四日市市 後藤 允孝
〇朝まだき三和土に虫の躯かな    広島県廿日市市 永野 昌人
〇夏休み子供の描く未来都市     福岡県北九州市 高野 祐治

 大滝の風の絶えざる湖畔かな    北海道札幌市  志賀 理子
 屋久島の千年杉や天高し      千葉県千葉市  恵三
 台風に列車大揺れ親不知      埼玉県深谷市  潟淵 恵美子
 崩したる積木の音や秋澄めり    神奈川県横浜市 龍野 ひろし
 靴磨く定年の朝爽やかに      富山県小矢部市 松田 文子
 塩焚きの釜屋の煙蟬時雨      富山県小矢部市 福江 真子
 秋茄子の蔕を揃へて桶に漬け    富山県小矢部市 西野 可代子
 見送りのホームに踊る風の盆    富山県富山市  藤井 薫
 前庭に箱積み上げて梨出荷     富山県富山市  藤井 薫
 天空に仰ぐ紅色百日紅       石川県金沢市  金山 多美子
 雁渡る横一線に日本海       岐阜県岐阜市  辻  雅宏 
 露けしや敷かれしままの廃線路   岐阜県岐阜市  辻  雅宏
 狗尾草戦の跡を覆ひたる      三重県四日市市 後藤 允孝
 銀杏散る煉瓦の路を歩きけり    広島県呉市   谷本 佳子
 万緑や飛沫浴びゐる川下り     広島県広島市  久保田 美佳
 朝寒や長き貨車往く海の町     広島県広島市  白石 正彦
 子ら寄りて朝顔の種数へけり    広島県大竹市  西亀
 ざくり切る南瓜の色の深さかな   広島県大竹市  西亀




第32回 平成29年 8月の募集

一般の部

〇入り組める芙美子の小路送りまぜ   千葉県松戸市  吉沢 美佐枝
〇駆け抜ける少女の足へ水鉄砲     埼玉県深谷市  潟淵 恵美子
〇淡色に口紅変ふる今朝の秋      神奈川県横浜市 龍野 ひろし
〇遠花火猫の目丸く我を見し      富山県小矢部市 松田 文子
〇水切りの石を拾へり秋の浜      広島県呉市   谷本 佳子
〇船虫の走り抜けたる月明り      広島県広島市  久保田 美佳
〇絵本読み聞かせてゐたり星祭     山口県岩国市  中原 和也 

 草取りを終へたる庭にバーベキュー  北海道札幌市  志賀 理子
 新涼や櫓を軋ませて渡し船      神奈川県横浜市 龍野 ひろし
 空蝉を残し通学バス発ちぬ      富山県小矢部市 松田 文子
 葛の蔓宙に垂るるや峠道       富山県小矢部市 福江 真子
 日の沈む沖に烏賊灯の並び出す    富山県小矢部市 福江 真子
 玉の汗ぽたりぽたりと動くたび    富山県小矢部市 西野 可代子
 枝豆の畑ひろびろ雲浮かび      富山県富山市  谷  光恵
 新盆に供ふる能登の味噌饅頭     富山県富山市  藤井 薫
 新涼や美容院より男の子       富山県富山市  藤井 薫
 雨雲を切り裂き走る稲光       三重県四日市市 後藤 允孝
 ひらひらと蝉の片羽落ち来たり    大阪府大阪市  木村 さよみ
 海昏れて流木の火や夏終はる     広島県広島市  白石 正彦
 父母よ仲はいかがか墓参       広島県広島市  白石 正彦
 弓を描き室戸岬や夏の雲       広島県廿日市市 稲留 伸治
 天道虫帽子の縁を一巡せり      広島市廿日市市 永野 昌人
 七夕の喪屋のともしびありにけり   山口県岩国市  中原 和也



第31回 令和29年 7月の募集

一般の部

〇快晴の空を仰いで花胡桃       北海道札幌市  志賀 理子
〇梅雨明けの秩父連山遥かなり     千葉県千葉市  恵三
〇奥能登へ蛇行する道栗の花      富山県小矢部市 福江 真子
〇一畳の水屋短き竹簾         富山県富山市  藤井 薫
〇大太鼓社殿に響き夏祓        石川県金沢市  金山 多美子
〇風鈴の同じ音色はなかりけり     三重県四日市市 後藤 允孝

 更衣行つてきますの声弾み      北海道札幌市  志賀 理子
 益荒男の鏑矢通す夏木立       埼玉県深谷市  潟淵 恵美子
 神杉の杜をゆるがし蟬時雨      千葉県松戸市  吉沢 美佐枝
 浜辺より富士の夕景涼しかり     千葉県千葉市  恵三
 夏空や電線渡る保守工夫       神奈川県横浜市 龍野 ひろし
 廃船の赤錆匂ふ炎暑かな       神奈川県横浜市 龍野 ひろし
 雨上りくちなし匂ふ坂の家      富山県小矢部市 松田 文子
 花柄の傘往く梅雨の石畳       富山宴小矢部市 福江 真子
 捩花のねじりながらも直立す     富山県小矢部市 福江 真子
 風鈴の音色にしばし手を休め     富山県小矢部市 西野 可代子
 静けさやぽつかり浮かぶ夏の月    富山県富山市  谷  光恵
 夏館風通り行く座敷林        富山県富山市  藤井 薫
 我妻の浴衣姿に惚れ直す       石川県金沢市  辻口 伸一
 行くほどに不気味さ募る木下闇    岐阜県岐阜市  辻  雅宏
 梅雨の夜の吾胸の音聞いてをり    大阪府大阪市  木村 さよみ
 幽霊の足の毛を剃る女形かな     広島県廿日市市 永野 昌人

第30回 平成29年 6月の募集

一般の部

〇筍を掘る度に鳴る腰の鈴       北海道札幌市  志賀 理子
〇青鷺の降り来る棚田水豊か      北海道札幌市  志賀 理子
〇風鈴の響く留守居の廊下かな     富山県小矢部市 福江 真子
〇青梅雨や三叉路に建つ開拓碑     富山県富山市  藤井 薫
〇白南風や船のノットの速度計     広島県廿日市市 永野 昌人
〇猪の堀り跡深し草いきれ       広島県大竹市  西亀

 薄暑光旗振つて呼ぶ渡し船      埼玉県深谷市  潟淵 恵美子
 青梅雨やかつて旅籠の深庇      千葉県松戸市  吉沢 美佐枝
 一杯の水に目覚むる夏の朝      神奈川県横浜市 龍野 ひろし
 濠の面に細波立てて緋鯉かな     富山県小矢部市 松田 文子
 大小の水滴流れ缶ビール       富山県小矢部市 福江 真子
 色いろに露の輝き額の花       富山県富山市  谷  光恵
 千枚田乱舞の燕映りゐる       富山県富山市  谷 光恵
 街道に沿ふ酒蔵の庭清水       富山県富山市  藤井 薫
 奔放に犬走らせる夏野かな      岐阜県岐阜市  辻  雅宏
 塗りかへてゐる灯台や五月晴     三重県四日市市 後藤 允孝
 部屋干しの服とりどりに送り梅雨   広島県呉市   谷本 佳子
 藍浴衣ぱりんとほほばるりんご飴   広島県呉市   谷本 佳子
 海猫の大きな影や防波堤       広島県広島市  久保田 美佳
 土塀の庭へこぼれて蟬時雨      広島県大竹市  西亀
 雑踏に游ぐパラソル交差点      広島県廿日市市 稲留 伸治
 黒南風や牡蠣殻臭き漁師町      広島県廿日市市 永野 昌人

第29回 平成29年 5月の募集

一般の部

〇夏草に隠るる礎石国分尼寺     千葉県松戸市  吉沢 美佐枝
〇城郭の粗き石積桐の花       神奈川県横浜市 龍野 ひろし
〇木道に笑ひ声あり水芭蕉      富山県小矢部市 松田 文子
〇群がりて不揃ひに揺れ小判草    富山県小矢部市 福江 真子
〇逃げ込みし樋にまだ尾が瑠璃蜥蜴  広島県廿日市市 永野 昌人
〇尻尾にも風花つけて猫帰る     広島県広島市  久保田 美佳

 立山の残雪眺め発ちにけり       北海道札幌市  志賀 理子
 ちんどん祭道化につづく肩ぐるま    埼玉県深谷市  潟淵 恵美子
 むつごろう跳ぶ引き潮の筑後川     神奈川県横浜市 龍野 ひろし
 目に涼しガラス細工のハイヒール    千葉県松戸市  菊池 七海
 雪渓の光尖りぬ白馬岳         千葉県千葉市  箕輪 恵三
 飛ぶ前はは楕円の形しやぼん玉     富山県小矢部市 福江 真子
 がちゃがちゃとビー玉鳴らしラムネ飲む 富山県小矢部市 福江 真子
 つばめの子頭上を巡りまた巡り     富山県小矢部市 西野 可代子
 藤棚の下に薄茶を賜はれり       富山県富山市  藤井 薫
 篠笛のふるへる響き春祭        石川県金沢市  金山 多美子
 燕子花一輪楚々と咲き初むる      石川県金沢市  金山 多美子
 標過ぎ頂遠し雲の峰          石川県能美市  森田 香津美
 子つばめも餌を欲る口の忙しなき    岐阜県岐阜市  辻  雅宏
 万緑の緑したたる皇居かな       岐阜県岐阜市  辻  雅宏
 夏めくや背文字の白き英和辞書     三重県四日市市 後藤 允孝
 風孕み白帆のヨット快走す       三重県四日市市 後藤 允孝
 パラソルのちひさき影を児に与ふ    広島県広島市  白石 正彦





第28回 平成29年 4月の募集

一般の部

〇蛇出でて雨の匂ひのしてゐたり    千葉県松戸市  吉沢 美佐枝
〇直立で写真撮らるる入学児      神奈川県横浜市 龍野 ひろし
〇馬駆ける草原の先春の海       富山県小矢部市 福江 真子
〇つばくろや漁師の交はす与太話    広島県広島市  白石 正彦
〇犀川の瀬音に開く桜かな       石川県金沢市  井波 善太郎
〇喪の家の客にすり寄る子猫かな    岐阜県岐阜市  辻  雅宏

 観劇に出かくる時刻春ショール    神奈川県横浜市 龍野 ひろし
 水温む掘り抜き井戸に菜を洗ひ    富山県小矢部市 西野 可代子
 教会へ坂道桜吹雪かな        富山県小矢部市 福江 真子
 春の月高きに見ゆる別れかな     富山県小矢部市 福江 真子
 花吹雪杖つく友の肩払ひ       富山県富山市  藤井 薫
 空席を待つ間も嬉し花見船      富山県富山市  藤井 薫
 集落の十戸の里の八重桜       富山県富山市  藤井 薫
 青空にいつそう白き桜かな      石川県金沢市  福田 吉栄
 無理やりに注がるる酒や花の下    石川県金沢市  福田 吉栄
 みちのくや車窓を過る花林檎     岐阜県岐阜市  辻  雅宏
 菜の花のまばゆきまでの堤かな    岐阜県岐阜市  辻  雅宏
 旅の駅ひとひらの飛花文庫本     広島県広島市  白石 正彦
 浅蜊鳴き潮吹く真夜の厨かな     広島県廿日市市 永野 昌人
 白き乳はらはら散らす乳母桜     愛媛県新居浜市 加島 一善
 

第27回 平成29年 3月の募集

一般の部

〇ゆつくりと顔確かめて雛飾る    北海道札幌市  志賀 理子
〇早春の路地足早に黒スーツ     富山県富山市  藤井 薫
〇初蝶や魔除けの土鈴振つて買ふ   富山県富山市  藤井 薫
〇三月の空へ小枝の広がりぬ     富山県小矢部市 福江 真子
〇雛荒しがき大将は名をなのり    福岡県北九州市 高野 裕

 瀬戸渡る橋へ自転車風光る     埼玉県深谷市  潟淵 恵美子
 かぎろひの小川へ伸びし猫柳    埼玉県深谷市  潟淵 恵美子
 ひらひらとひかりをこぼす桜鯛   千葉県松戸市  吉沢 美佐枝
 春の日を撥ねて渡しの舫杭     千葉県松戸市  吉沢 美佐枝
 黒椀に蛤二つ晴着の子       富山県小矢部市 松田 文子
 濃く淡く山重なるや弥生尽     富山県小矢部市 福江 真子
 啓蟄の遠方よりの便りかな     富山県富山市  谷  光恵
 鳥帰る工事半ばの橋普請      富山県富山市  藤井 薫
 ゴンドラのロープの軋み春北風   石川県能美市  森田 香津美
 サッカーの児に乾きたる春の泥   石川県能美市  森田 香津美
 風向きの一瞬変はり梅匂ふ     三重県四日市市 後藤 充孝
 暮れなづむ空へ一陣鳥帰る     三重県四日市市 後藤 允孝
 菜の花や島の分校児が四人     広島県広島市  白石 正彦
 山桜旅立ちの日の近づきて     広島県三原市  石原 幸美
 念仏の声の掠るる余寒かな     広島県大竹市  西亀

第26回 平成29年 2月の募集

一般の部

 

〇百枚を一心不乱書初めす      北海道札幌市  志賀 理子
〇峠へと層成してをり雪の壁     埼玉県深谷市  潟淵 恵美子
〇啓蟄や泥巻上ぐる鯉のひれ     広島県大竹市  西亀
〇春暁のかたりことりと炊飯器    広島県廿日市市 永野 昌人
〇茫茫と風が火を呼び大野焼     三重県四日市市 後藤 允孝

 筆塚に一筆の日矢うららけし    千葉県松戸市  吉沢 美佐枝
 気嵐や潮の香りを吹きあげて    富山県小矢部市 松田 文子
 紅梅の枝にかかりし昼の月     富山県小矢部市 松田 文子
 雪掻きの肩ほぐしつつ湯に浸かり  富山県小矢部市 松田 文子
 看板に太筆の文字春の雪      富山県小矢部市 福江 真子
 杖の身の足元に消ゆ牡丹雪     富山県小矢部市 福江 真子
 硝子戸に姿勢を正す余寒かな    富山県富山市  藤井 薫
 春雨や池の水輪のつぎつぎと    石川県金沢市  金山 多美子
 鈍行の膝まで届く春日差し     石川県能美市  森田 香津美
 春山を蹴りパラシュート雲の上   石川県能美市  森田 香津美
 お西より来てお東へ春一番     岐阜県岐阜市  辻  雅宏
 大津絵の鬼も目を剥く追儺かな   岐阜県岐阜市  辻  雅宏
 白梅や空家に残る三輪車      広島県広島市  白石 正彦
 白梅の三分咲きなる紅ほのか    広島県三原市  石道
 朧なるものの一つに鯨尺      広島県廿日市市 永野 昌人
 春泥のはねて女のひかがみに    広島県廿日市市 永野 昌人
 老齢に嬉しきことよお年玉     福岡県北九州市 高野 裕治

第25回 平成29年 1月の募集

一般の部

〇湯上りの妻の影ゆく白障子     岐阜県岐阜市  辻  雅宏
〇定位置に停まる電車や日脚伸ぶ   広島県廿日市市 永野 昌人
〇物除けし畳の青さ初箒       富山県富山市  藤井 薫
〇鐘の音の遠くに聴こえ初湯かな   富山県小矢部市 福江 真子

 冬霞遠吠えに耳澄ましをり     北海道札幌市  志賀 理子
 傾きをまた問うてをり松飾     埼玉県深谷市  潟淵 恵美子
 年末の手相占ひ列長し       埼玉県深谷市  潟淵 恵美子
 トンネルを抜けて立山初茜     富山県小矢部市 松田 文子
 手作りの干柿加へ飾りつけ     富山県小矢部市 松田 文子
 年の餅焼けば静かにふくれをり   富山県小矢部市 福江 真子
 嬰を抱き産土神の年酒受く     富山県富山市  藤井 薫
 送られし黒豆を煮る大晦日     石川県金沢市  金山 多美子
 着膨れて流行り届かぬ峡に住む   石川県美濃市  森田 香津美
 若水を掬ひ八十路の顔洗ふ     岐阜県岐阜市  辻  雅宏
 遠富士の嶺の白さよ大旦      岐阜県岐阜市  辻  雅宏
 街灯の仄明かりにも春近し     三重県四日市市 後藤 允孝
 寒風に昼月過ぎるノスリかな    大阪府大阪市  木村 正子
 傘かしげ往き交ふ路地のしづり雪  広島県広島市  白石 正彦
 お土産はジャンパーにつく焚火の香 広島県東広島市 中村 千夏